強くあれ
〜もっと強い自分へ。挑み続ける北陸のstrongerたち。〜
vol.52将棋も学生生活も楽しみながら、
福井県高校将棋選手権2連覇。

普通科特別進学コース
特進クラス3年

髙橋 一樹

普通科特別進学コース
特進クラス3年

髙橋 一樹

PROFILE
足羽第一中学校出身。将棋部部長。昨年の福井県高校将棋選手権で個人A級優勝、全国高校文化連盟新人大会で準優勝。今年、福井県高校将棋選手権2連覇を果たした。文化部の活躍を広くアピールすべく生徒会執行部に入り、代議員議長を務める。

—将棋を始められたきっかけを教えてください。
小学2年生の頃、児童館でいろんなボードゲームがある中に偶然将棋があり、友達と駒の動かし方を覚えるぐらいまで遊びました。その後、将棋はほとんどしていなかったんですけど、小学5年生の時に福井新聞社主催の将棋大会があり、「全部負けてもいいから記念に出てみようか」と思って出場したら、嶺北大会で優勝したんです。そこで、「あの子は誰?」みたいに注目され、それからずっと将棋を続けています。

—鮮烈なデビューで、周りの反響も大きかったのではないですか。
当時は、純粋に「負けてもともとかな」と思っていたんですけど、大会に向けて自分なりに頑張っていたので、やっぱりうれしかったですね。初めての大会で親も保護者席で見てくれていて、勝つたびに親の方を見て「勝ったよ!」って合図するのが楽しかったです。それから後は、木田将棋道場に通って、さまざまな年代の人と将棋を指しました。同じ年頃の子も多く、ライバルもたくさんいましたね。

—そのまま奨励会に入って、プロを目指す可能性もあったのでは。
将棋にはプロを目指すかどうかという分岐点がけっこうあり、僕は中学1年生の時に一番悩みました。将棋界って特殊な世界で、プロ棋士になるには奨励会に入らないといけないんですけど、中学ではもう遅いくらいなんです。でも、小学生で将棋人生をかけて奨励会に入っても、プロになれるとも限りません。

—中学生でそんな大きな選択に向き合うのは、大変だったのではないですか。
将棋でプロになるなら「ラストチャンスだよ」みたいにも言われて、「やっぱ怖いな」って思ったし、実力も足りていないと感じました。でも将棋は好きだから、楽しみながら続けたいと思い、学生将棋やアマチュア棋士の道に進もうと今に至ってます。

—今年、福井県高等学校将棋選手権2連覇と、強さは健在ですね。
ありがとうございます。ただ、高校の大会は個人戦と団体戦があって、同時進行で始まるのでどちらかにしか出場できないので、そこがちょっと悔しいというか、もったいないなと思っています。

—将棋は個人戦のイメージが強いですが、団体戦にも力を入れているのですね。
チームで挑む団体戦は、同じ環境の中にいる部員と取り組む魅力というか楽しさがあります。部員の実力はバラバラで、けっこう差があるんですけど、時間を一緒に過ごしている仲間なので、強くなってもらいたいし、成長してレベルアップしていくのを感じられるのは本当にうれしいです。

—北陸高校の将棋部の雰囲気を教えてください。
将棋部は今10人位いて、全員男子です。みんなで名人戦とかを見て話をすることもあって、強い人とは戦型について話をしたり、まだルールとかよくわからない人とは「藤井聡太さん、また今日も勝ったね。おもしろくないね」みたいな感じで話したりしています(笑)。今は藤井聡太さんの活躍などで将棋がブームになっているところもあり、将棋に関心を持っている若い人はたくさんいると思います。

—将棋部の部長として、意識して取り組んでいることはありますか。
教えるのは好きなので、みんな一定のところまで育てたいなと思っています。ちょうど最近1年生が入ってきて、駒の動かし方はわかる程度の人と、普通に一緒に指しながら「こういう戦法があって、こんな時はこうするんだよ」みたいに教えることもあります。大会で、以前は予選を通らなかった人が地域で準優勝し、一緒に盾を持って記念写真を撮った時はうれしかったですね。

—将棋は自分で「負けました」と自己申告しますが、辛くはないですか。
僕はすごく負けず嫌いで、最初それを言うのがすごい苦痛でした。言いたくなさすぎて、小学生の時はあえて「ありがとうございました」って言ったりして…スイマセン、本当は良くないんですけど(苦笑)。今も負けたらすごい悔しいですし、誰にも負けたくないって思っています。でも、負けを自分で認めることが将棋の良いところっていうか、精神的なところでの魅力なのかなって思います。

—将棋部以外で、将棋を指したり大会に出たりすることはありますか。
部活以外でも、将棋を指す時間はけっこうあります。学校の近くに将棋道場があって、余裕のある時はそこで大人の人と指しますし、一般の大会にも出場しています。今は3年生であまり出ていないですけど、大会では予選を通らないこともあるし、シード選手にコテンパンにやられることもあります。まだまだ、これからですね。

—勉強と将棋で多忙の中、生徒会代議員議長もされていますが、立候補された理由を教えてください。
選挙で、僕は前学期の生徒会で取り組んでいた校則の改正を引き継いでやっていくこと、北陸高校は運動部の活躍がすごいけれど、文化部や同好会もたくさんあるので、その人たちがスポットライトを浴びられるようしたいということを公約にあげました。その2つの公約は、クラスの友達をはじめ周囲で頑張ってる人がたくさんいて刺激を受けたことと、将棋部の部長をしていて思ったことでもあります。

—今は生徒会でどのような活動に取り組んでいますか。
9月の北紫祭をどんなふうに開催するかが中心ですね。完全にコロナ禍前に戻すことは無理だけど、ちょっとでも新しくできることはないかと話し合ってる段階です。文化部としては、文化祭のステージ発表だけでなく、模擬店を復活させてはと考えています。将棋部でも何か場を設けて、部員以外の人と将棋を指す機会があったらいいねって話してます。他にも、藤井聡太さんが食べたデザートを出したらどうだろうとか、何かそういうことを考える時間ができたことも、生徒会に入って良かったと感じるところです。

—青春している感じがしますが、勉強、将棋、生徒会活動との両立はどうしていますか。
ちょっと大変ですね(苦笑)。今までけっこう勉強を頑張ってたつもりなんですけど、時間が取れないというか。僕はスマホで動画を見たりしちゃうので、部屋にいる時間を減らし、家以外で勉強してから帰るとか、電車通学時に英単語を見るとか、自由時間を潰すみたいな感じで予定を詰めて勉強しています。

—将来の目標について教えてください。
将棋はスポーツと違って死ぬまでやれるので、おじいちゃんになってもできるだけ続けていきたいです。それと、北陸高校将棋部OBで、学生名人になって今は福井県アマ名人として活躍されている西澤佑亮さんという先輩がいて、その人に挑戦したいです。今まで2戦2敗で、精神的に「負けてもしゃあない」とイーブンに臨めてないので、何とか「勝ちたい」っていう気持ちで対局できるぐらい強くなりたいです。

—北陸高校での3年間を通して、成長したと感じるところはありますか。
北陸高校に入って、スポーツとかで全国優勝目指して頑張っている人たちを見て、素直に「いいな」と思えるようになりました。小中学生の頃は、自分は将棋が強いから何かにつけてけっこう相手を自分と比べて、「僕の方がすごい」みたいに思いがちだったんですけど、ちょっとひとつ大人に近づけたのかなと思います。

—大学の進路や将来の夢を教えてください。
教育学部に進み、文系科目の先生を目指したいです。実は、西澤さんも県内で学校の先生をしていて、いろんな面で目標としています。

—最後に、未来の後輩にメッセージをお願いします。
北陸高校にはいろんなコースあるんですが、どのコースに入っても自分と違うことで頑張ってる人がいっぱいいるので、出会いを大切にしてほしいと思います。
それから、僕は割と遅かったんですけど、高校生活の中で「これは絶対に頑張ろう」と思えるタイミングが必ず1度はあると思うので、そういうチャンスに出会ったらどんどん挑戦していってほしいです。いろいろ迷うのももちろんわかるんですけど、やればやるだけプラスになるので、月並みな言い方ですけど、その瞬間を大切にしてほしいです。

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